「あいうえお歌」は「いろは歌」とまた一味違って、おしゃれ感覚の楽しい句が詠めているように思います。
<<あ行>>

ああそうかいそっちうつならわしゃこっち
亜阿相界 そっち打つなら ワシャこっち

いしわりそうバシッといしをたたきつけ
石割草 バシッと石を 叩き付け

こうばいばいてきはこうざいつかいきり
紅梅バイ 敵はコウザイ 使い切り

えだまめとびーるでしゅだんちちとこと
枝豆と ビールで手談 父と子と

おだまきやごにまけいざかやくだをまき
苧環や 碁に負け居酒屋 管をまき
<<か行>>

かきつばたあやめたかげたぴんひーる
杜若 菖蒲タカゲタ ピンヒール

ききょうしてむらさきにとうきっちゅうのらく
桔梗して 紫に訪う 橘中の楽

じがすきなくりすますろーずうつむいて
地が好きな クリスマスローズ 俯いて

げっかびじんごをうつすがたなやましく
月下美人 碁を打つ姿 悩ましく

いしにぎりこぶしひらいててばんぎめ
石握り コブシ開いて 手番決め
<<さ行>>

さざんかきゅうせいちけいさんほうけいで
山茶花九 整地計算 方形で

しゃりんばいおおよせばんかいだいしゃりん
車輪梅 大ヨセ挽回 大車輪

すずらんだごーるをめざすぺあのご
鈴蘭だ ゴールを目指す ペアの碁

ぜにあおいかけごになるとちからだし
銭葵 賭け碁になると 力出し

そばのはなおかめもざるもこうがよし
蕎麦の花 傍目もザルも 劫が良し
<<た行>>

たいむ~! たいむといってもまっただめ
タイム~ タイムちゃんでも 待ったはダメ

ちどりそうばんめんてまよいとちりそう
千鳥草 盤面手迷い トチリそう

つつじさくごがつだこいだいしはねる
ツツジ咲く 五月だ鯉だ 石跳ねる

いーじーなはやうちしたらいででーじー
イージーな 早打ちしたら イデデージー

かぶすのがうわてのじょうとうとりかぶと
冠すのが 上手の常套 鳥兜
<<な>>

だいこくやなのはなのおきねなしいし
大黒屋 菜の花の沖 根無し石

にげられぬいしにもあわれはしられけり
ニゲラれぬ 石にも哀れは 知られけり

ぬるでうちたたかいさなかのいってぱす
白膠木打ち 戦い最中の 一手パス

ねめしあんばんめんしへんねめまわし
ネメシアん 盤面四辺 睨め回し

そこうつのあんぽんたんかのぼたんか
そこ打つの アンポンタンか 野牡丹か
<<は行>>

はなかんざしつけるてすじもういういし
花簪 ツケる手筋も 初々し

いしおいていちろのずれにひやしんす
石置いて 一路のズレに 風信子

ぶらいだるべーるでおおうしろのいと
ブライダル ベールで被う 白の意図

げんいんのべにばなあかばなじせきのご
源因の 紅花紅鼻 耳赤の碁

くろしょいんからじしぼたんいしのまい
黒書院 唐獅子牡丹 石の舞
<<ま行>>

まんさくにあやかりしんしゅんごれんしょう
萬作に あやかり新春 碁連勝

みすみそうよすみとられてごにならず
三角草 四隅取られて 碁にならず

みすのうちむらさきしきぶごをならべ
御簾の裡 紫式部 碁を並べ

めはじきとおはじきがわりにいごのいし
目弾きと おはじき代わりに 囲碁の石

もものはなひなだんかざるさんのさん
桃の花 雛壇飾る 三の三
<<や行>>

やまぶきはこがねをみせてしろとかす
山吹は 黄金を見せて 白と化す

ゆきのしたやいんにじょうじきしゅうかけ
雪の下 夜陰に乗じ 奇襲かけ

ごにまけたよめのなみだがいじらしく
碁に負けた 嫁の涙が いじらしく
<<ら行>>

いしらっかいいかげんにしろよらっかせい
石落下 いい加減にしろよ 落花生

りんどうねいちょうととのえしょうかごに
竜胆(りんどう)根 胃腸整え 消化碁に

るりまつりきょうはたのしいいごまつり
ルリマツリ 今日は楽しい 囲碁祭り

れんりそうきょうだいげんかをいましめる
連理草 兄弟喧嘩を 戒める

ろーずまりーなんかいじょうせきすらすらと
ローズマリー 難解定石 スラスラと
<<わ行+ん>>

いちもくをおくはいごづけわさびづけ
一目を 置くは囲碁漬 山葵漬

うとさぎのいじのはりあいゐのこづち
鵜と鷺の 意地の張り合い ゐのこづち

ゑごのきはいごのじょうたつじゃまになる
ヱゴノキは 囲碁の上達 邪魔になる

しろとりはたりきほんがんをとこえし
白取りは 他力本願 男郎花

んのはなはむしょくむこうのいろどりご
んの花は 無色無香の 彩り碁